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「いろいろ・なる!」1−88

  • 2019.08.11 Sunday
  • 22:38

歓迎会が終わってお腹も心も満腹になり、自分と真姫さんは個室に戻ってきた。


「また後でね。起きてたら遊びに来るね。」


「カギ開けとくね。自分も寝てしまうかもしれないけれど。」


「そうね、今日だけでもいろいろあったからね。」


まあここは他人様はいないし、ちょっと静かになる時間も欲しい。お風呂の方を
先にしてしまったおかげですっぴん。。。成り行きだったし、化粧水も乳液も
急いでつけたおかげで不十分。。。なので化粧水からやり直す。三面鏡に向かって
備え付けの化粧水を棚から取り出し、コットンにつけて顔の隅々までつける。
化粧水は保湿で湿り気を与えるもの。それが済んだら保湿が蒸発しないように
乳液をつける。乳液は同じ液体だけど、肌に脂分を与えて保湿を守る役目。
男だった時は女の化粧をバカにしていたが、いざ女になってみると、化粧にも
順番があるし、技術もいる。女の方が頭がいいというのは、子育てもそうだし
化粧とかおしゃれとか、そういう生まれ持ってきた必要な技術から来るのかも
しれない、って思う。


(化粧も慣れてきたね。女もいいものでしょ?)


「そうだね、化粧とか髪型とか服とか、面倒くさいこともあるけれど、自分が
明るくなって注目を集めるのって、なんか嬉しいね。」


(そうでしょ?)


アオレちゃんが体の中から応援してくれる。お風呂入った時にトリートメント
はちゃんとやった。自分は髪の毛をくしで解かして、乾ききっていない部分を
改めてチェック。ヘアオイルを手に適量取って、毛の先から真ん中、頭皮の方
へと伸ばし、ドライヤーで乾かしていく。ドライヤーをやり過ぎてもいけない
ので、適度なところで止める。後は歯磨きして寝る支度が出来た。


(ピンポーン)


「真姫さん?」


「違うよ。充輝だよ。入ってもいいかな?」


「いいよいいよ、入って。カギは開いてます。」


珍しい。。。充輝君は主催者だし、当然といえば当然か?


「さっきは歓迎会、ありがとうございます。」


「いいえ、どういたしまして。楽しんでくれた?」


「本当に楽しかった! これが初日かと思うと、打ち上げの時はどうなるかと
。。。」


「それは僕たちにふさわしい打ち上げ会になるよ。大丈夫〜。」


「そうなんですか。。。期待しています。それで、何かありました?」


「うん、それはね。。。会場では話出来なかったけれど、広志さん自身の問題
なんだ。」


「え。。。?」


充輝君、改めてこっちを向いて話をしてくる。


「時々、”奈留”さん、って言ってたでしょ? 僕が。。。それはね、もう
そろそろ”奈留”さんになり切って欲しい、というメッセージでもあったん
だよ?」


「。。。」


「女になりたかったんでしょ? アオレさんの力を借りて、僕も能力をもらっ
たし、広志さんも戸籍から学籍から地域の信用とか、変身しやすい環境とか、
いっぱい努力して整備してあげたと思っているんだよ?」


「。。。。」


「それでもし、”男”に戻って生きてもいい、なんて話になったら、周りに
根回ししたこととか、メンツとか、みんな潰れてしまうことになる。僕としては
広志さんのことが好きだし、そうなっても仕方ないなーとは思う部分はあるん
だけどね。」


「その通りです。。。」


「ここまで来たら。。。完璧な女になり切って欲しい、って思っているんだよ?
一時的でもいいから。。。そうしないと、広志さんの進歩につながらないと思う
んだ。何か引っかかることがある? 心配事ない? 大丈夫?」


そう言われて。。。一つ思い当たる節があった。


「真姫さん。。。の件。」


「。。。ああ、そうだね。女になろうとしているのに結婚が女同士ではね。。」


「アオレちゃんに出会ったから、真姫さんにも出会えた。真姫さんには今さら
だけど、惚れられていると思う。自分も真姫さんに惚れていると思う。真姫さん
以外の女性は考えられないから。。。」


「そうだね。。。」


「正直、どうしていいか。。。」


しばらく充輝君は沈黙する。自分も沈黙していた。充輝君は大人だなぁ。


「。。。そうだね、こう考えようか? 家の外では女でいれば良い。ただし、
家に帰ってきたら男に戻れば良い。そう考えたらどうかな?」


「それでは。。。戸籍とかはどうすれば良いですか?」


「”男”、ということになるんだろうね。戸籍だけは”男”にしておいて、仕事
する上では”女”にしておけば良い。日笠グループも化粧品会社とかあるし、
表面上女にしておける場所はいくらでもある。物事の解決方法に”白”も”黒”も
ない。”グレー”の濃淡で解決することはいっぱいあるんだよ。」


「。。。。」


「まあ、一度、真姫さんと話し合って。僕も出来るだけ協力するから。広志さん
には一度きちんと”女”なって欲しかったから、主催したんだ。いい”女”に
ならなければいい”男”にもなれないよ。まずは広志さん自身を”広志”とか
”自分”という呼び名は止めて。この一週間くらい”私”という呼び名で呼んで。
いいかな?」


「うん。。。」


「今夜はもう寝て、また明日以降ゆっくり考えようね。。。」


「はい。。。。」


「夜遅く悪かったね。お休みなさい。。。。」


「お休みなさい。。。。。」


充輝君は、本当に紳士らしく、扉を静かに閉めて部屋を後にしていった。


(充輝君、本当に男前だねぇ。ああいいう”男”と結婚しなさいよ?)


「うるさいよ、アオレちゃん! 充輝君は博美さんに予約済み。無理!」


(本気で言ってる訳じゃないよ?)


「分かってるよ。。。」


そう、真姫さんの納得が一番の問題なのだ。

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